自然農法と有機栽培のちがい

今回は自然農法と有機栽培はどう違うのかを解説します。
まず、農薬と化学肥料を使用した、従来の耕作の問題点についてです。
植物が育つのに必要な環境と農薬
化学農薬と化学肥料は、セットで使うことになりますが、なぜセットなのかをまずお話したいと思います。
化学農薬がどんなものかというと、
土や農作物の表面に散布すると、そこに住む菌類や微生物、虫や小動物を死滅させ、それらが作っていた生態系を壊してしまいます。
作物が育つのに必要な土中の栄養やミネラルのバランスは、この生態系のなかでこそ最適な状態に保たれているのです。
例えば、虫の死骸や落ち葉などが、植物が栄養として利用できる形に分解するのに、菌類や微生物の働きは欠かせません。

一度壊れた生態系のバランスは簡単には回復しないので、そうなった土で作物を育てようとすれば、人工的に作られた化学肥料を投入し続けなければいけません。
これが、化学農薬と化学肥料はセットで使うことになる理由です。
化学肥料について
では化学肥料がどんなものかというと…
窒素は植物の生育に必要不可欠な栄養素ですが、1905年~1908年に、ドイツで空気中の窒素分子N2からアンモニアを生成しようという試みがあり、鉄を触媒として使用することで商業的な大量生産に成功しました。
アンモニアなどを主原料とした化学肥料が与えられると作物は強制的に成長、肥大化するので、本来の健康的な野菜には育ちません。害虫や病気に弱くなり、必要以上の窒素は植物の体内に吸収されると硝酸態窒素となって蓄積され、これが野菜の味を悪くする原因と言われています。
また化学肥料の形で地面にまかれた窒素のうち、作物が吸収しきれなかった分は、雨水によって川や海へと流れ込み、水質の悪化を招きます。
同様に、農薬も環境に悪影響を与え問題になっています。
自然農法とは
自然農法の畑には草が生え、畝には枯草が敷かれています。
何も手を入れないことを「自然」と呼んでいるのではありません。必要最低限の作業で、自然の力を借りて野菜を育てようとするのが自然農法です。
農薬や化学肥料を一切使わず、有機肥料さえ使いません。
そんな環境で野菜が育つのか?
と思われる方は、関連記事:「無肥料・無農薬で野菜が育つのか」に検証結果を載せています。
答えは、ちゃんと育ちます。
育ったとしてもひ弱であまり美味しくないんじゃない?
と思うかもしれません。
実際に私が自然農法で作ったホウレンソウを食べてみましたので、関連記事:「自然農で採れた野菜って美味しいの?」をご覧ください。
これが市販のものと比べ、野菜そのものの味が濃くて旨味があって、本当に美味しいです。
おまけに野菜が元気なので害虫が来ないため、農薬をまかなくてよくなります。
作物を取り囲む生態系の力を借りれば、自然のサイクルが機能して、山や森の植物が生きているのと同じように、持続可能な農業ができるのです。
有機栽培とは
有機栽培も目的は、環境を壊さず持続可能(サスティナブル)な方法で野菜を育てることです。自然農法と違うところは、国が定めた基準値を超えない範囲で天然由来の農薬を使っているところです。
もともと国の農薬使用基準は、人が一生食べ続けても健康に影響がない量の1/100といわれています。が、この基準値が本当に厳守されているか、それを監視するシステムは今のところありません。
有機栽培作物を市場に出す人が、顔の見える販売方法、例えば栽培者の名前・写真を野菜につけるとかしているのは、農薬使用基準をしっかり守っていますよ、と消費者との「信頼」をつなぐためだと思います。
有機栽培では化学肥料は使いませんが、有機肥料を使います。
有機肥料は、動物の排泄物や植物の残渣などに、作物の成長を促す有用な菌を繁殖させ、十分に発酵したものから作ります。
発酵によって、菌が有機物をさらに小さな栄養に分解し、植物が取り込みやすい形になります。
このように、化学肥料を使わなくていいように、安全な有機物を材料に工夫して作られたのが有機肥料です。
自然栽培・有機野菜がかかえるリスク
化学肥料を使った場合より、作物の成長はゆるやかですし、収穫量もそこまで多くはありません。土が自然のサイクルで栄養を溜め込むスピードに、人間のほうが合わせる必要があります。
ですから、野菜の本来の実りの時期(旬)が決まっています。当然、安定的に1年を通して食べられるようにもできません。
生態系の力を最大限に発揮してもらうよう農薬や化学肥料を可能なかぎり減らしたため、途中で虫に食べられたり病気になったり、たくさんのリスクを乗り越えてきた野菜たちは、どうしても収穫量が少なくなってしまうんです。
そのようにして育てられた野菜は、一般の野菜に比べて体内に自力でたくさんの栄養を溜め込んでいるため栄養価・抗酸化力が高く、鮮度が落ちにくいこともわかっています。
関連記事:野菜の鮮度について
そういう自然野菜の宿命を、私たち消費者が愛して、たくさん食べるようにすれば、いままで気づかなかった農家さんたちのメッセージを感じられると思いますよ。
有機JASマーク認証について
農家さんが売り出すときに、有機栽培で育てた野菜に「有機JASマーク」を付けます。
見たことがあると思いますが、この有機認証を国から取得するには、大変な時間とお金がかかります。それで多くの農家さんは有機栽培で育てていたとしても、認証が取れなくて「有機JASマーク」を付けられないという事もあります。

このマークが必ずしもついていなくてもカラダや環境にやさしい野菜、取り組んでいる農家さんはたくさんいます。
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まとめ
自然農法は農薬や化学肥料を一切使わずに野菜を栽培できるので、コストがかからない究極の栽培法にも見えます。
有機栽培は、基準を満たした天然由来の農薬や、有機肥料を使いながら野菜本来のおいしさや栄養を追求した野菜です。
どちらも普段から入手して食べたいと思いますが、スーパーや八百屋で目にする有機野菜は量が少なく、そして…高い。
自然農法の野菜に至っては、どこで売っているのかも定かではありませんね。
次回は有機野菜がなぜ一般の野菜に比べて値段が高いのかを考えます。
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